Tarot column

もしも、あなたがタロットと出会ったばかりで、

その出会いに喜びを感じているのなら・・・、

もしも、ほんの少しでも、

好きになり始めているのなら、

こんなコラムでも、

ちょっとだけお役にたてるかもしれません。

そんな気持ちで、

昔の恥を引っぱり出してまいりました。


これは、1991年4月~12月、『an』に、

毎週の占いと共に掲載されたコラムです。

今、読み直してみると、

少々、???なところもありますが、

ビギナーさん向けということで、upしてみました。

あなたとTarotの旅が、

素晴らしいものでありますように☆





これは私たちからの、メッセージ。

私たちはタロット・リーダーで、タロットカードとおしゃべりをします。

『タロットとのおしゃべり』。

これが出れ程の歓びか、あなたに想像できるでしょうか? 

それは、未来を見せるから歓びなのではありません。

「当たる」からでもありません。

タロットに触れること、

それによって自分を発見できることが歓びなのです。

自分をもう1度好きになり、生きることを愛せるようになるから素敵なんです。

私たちはたまたまタロットに出会い、そんな風な歓びを手にすることができました。

それをみなさんに伝えたい、その想いがこのコーナーです。

占いは本来なら、私とあなた、そしてタロットカードの3人で産み出すはずの物語。

「あなた」抜きではどうしようもありません。

だからこれは占いではなく、メッセージ。

一方通行の、でも是非幸せになって欲しい、目の前にはいないあなたへの・・・。

 『an』1991/4/1〜4/7掲載


タロットカードの1枚1枚には、様々な物語が描かれています。

それぞれの絵柄には意味があり、あなたの心に響くメッセージを伝えようと、

リーダー(読み手=占い師)を待っています。

もし、あなたの手許にタロットがあれば、何気なく1枚引いてみるのもいいかも知れません。

今のあなたに必要なメセージが、

象徴的な絵や形、色彩などを通じて、ほら、聞こえてきませんか?

今週は、そういったタロットの象徴や物語を中心に、

“Secret Dakini Oracle”というカードを使ってお話してみようと思います。

このカードは、タントラ思想をベースにしたユニークなもの。

色彩豊かで美しい、インスピレーションを刺激するタロットです。

生(性)の喜びと、死(終焉)が

新しい出来事の始まりであることを繰り返し謳ったこのカードが、

ちょっぴり元気のないあなたにも勇気を与えてくれることを願って・・・。

an』1991/4/15〜4/21掲載


タロットカードが語るのは、真実のあなたの姿。

素直に受け入れる勇気のある人に、真実の答を見せてくれるでしょう。

わたしたちは、皆、上手に自分に嘘をつきます。

悲しいのに平気なフリをしてみたり、好きなくせに感じていない顔をしてみたり・・・。

そうして、そんなふうにな嘘をつき続ける内に、本来の自分を見失ってしまいます。

タロットは、そんなあなたの隠された自己を見せてくれます。

それは時には、最も醜悪な顔であることも・・・。

タロットを持つと不幸になるなんて言われるのは、この心の魔を扱いきれないせいでしょう。

けれども、もし、あなたが素直で真摯な気持ちでカードに触れるなら、

タロットは、あなたに心の声を聞かせてくれます。

それを受け入れた時、そこに未来への示唆があるはず。

本当のあなたに戻って自分らしく生きる喜び・・、

タロットカードの声に、耳を傾けてみませんか?

an』1991/5/20〜5/26掲載


タロットカードのメジャー・アルカナは、1つの物語になっています。

0番」のカードに描かれた“Fool”の、セルフ(自己)ヘの旅を描いているのです。

若者の姿で表されることの多い“Fool”は、無垢な魂の象徴。

始まりを意味する“Magician”のカードから、

“World”のカードの完成に向けて、魂は旅を続けます。

旅の途中、知識を得、愛を感じ、運命の流転を知る中で、Foolは自己へと到ります。

時に試練に出会い、死を体験しながら、Foolは真実を見い出していくのです。

そして、1つのサイクルが終わった時、彼には新たな生が待っているでしょう。

今週は、そんなFoolの旅を美しく描いた“Maya Tarot ”を使い、

メジャー・アルカナ中心に、カードを開いてみました。

あなたのセルフへの旅は、今、いったいどのあたりにあるのでしょうか?

an』1991/6/3〜6/9掲載


タロットカードのメジャー・アルカナが魂の旅を表しているとしたら、

マイナー・アルカナのそれぞれのカードは、

何を表しているのでしょう? 

マイナー・アルカナは基本的に、4つのスートで構成されます。

ワンド・カップ・ソード・ペンタクルの4つのシンボルで表されるのは、

宇宙を構成するとされる4つのエレメント、火と水と空気と土です。

メジャー・アルカナの物語がセルフの大きな旅を描いたものだとすると、

マイナー・アルカナは、

この旅の中で起こる個々の変化のサイクルを意味しているのかもしれません。

それぞれのスートを旅するFoolは、そこで示されるテーマを追う内に、

1つ1つのサイクルを完成させていくのです。

ワンドのスートでは生命を、カップでは愛を・・・というように。

そして4つのテーマが理解された時、メジャー・アルカナの旅もまた完成へと到るでしょう。

タロット は、メジャー&マイナーのアルカナで、1つの宇宙を構成しているのです。

an』1991/6/17〜6/23掲載


タロットに真実の答を求める時、

わたしたちは、カードにどのように接するのがよいのでしょう? 

タロット・リーディングには、様々な要因が作用します。

外的な条件(場所や時間帯)に左右されることもあれば、

リーダーと質問者のコミュニケーションも、大切な要素です。

でも、何よりも大切なことは、リーダーとタロットの関係です。

あなた(リーダー)とタロットカードが、お互いに深く理解し合っていれば、

ありきたりなリーディングでは味わえないような深い感動が生み出されることでしょう。

まず、タロットを愛してやることです。奏者が楽器を愛でるように・・・。

決してカードの意味を丸暗記しようなどとは、思わないで。

よくカードを見つめ、好きになること・・・、

それは、あなた自身を見つめ愛することに他なりません。

カードで占うのはそれから、あなた自身をもう少し好きになってから。

an』1991/7/15〜7/21掲載


「むかしむかし、あるところに、1人の若者がおりました。

何と言って、とりたてて取り柄のある若者ではありませんでしたが、

好奇心と夢だけはいっぱい持った若者でした。

ある日、彼は1人で散歩に出かけます。

その日はあまりに陽気が良くて、村のはずれの丘にまでやって来た若者は、

あるはずのない不思議な白い山を、その彼方に目にします。

そうして、その崇高な山に見とれるうちに、彼の心の奥底で、何かが動き始めます。

どうせ時間はあるんだし、そう死ぬまでにはまだまだあるし、

世界の果てを見てみるのも悪くないかもしれないなぁ・・・。

そうして、1人若者は、山へと歩き始めます・・・。」

これは、わたしの創ったFoolの旅の物語。

タロットと遊ぶうち、わたしたちはカードの中に様々な物語を見い出します。

好きなカードを1枚手に取って、お話を創ってみましょう。

それは楽しい作業です。そして、とても良いレッスンにもなるのです。

an』1991/7/29〜8/4掲載


今日は「ぬり絵」のお話をしましょう。

タロットカードに色をつけてみるのです。カラーリングは面白い作業です。

モノクロのカードを用意して(コピーや本に印刷されているものでも良いのですが)、

自由に色を付けていきます。

例えば、“High Priestess”はブルー系、“Devil”はダークな色合いでといった感じで。

「ブルー」は知性を表し、「白」は純粋さや神性をというように、

色にはそれぞれ意味がありますが、

そんなことは無視して、最初はあなたの感性で彩色していくのが良いでしょう。

78枚、あるいはメジャー・アルカナ22枚がぬり終わったら、

1度すべてのカードを並べてみてみましょう。

ほら、あなたのカードが出来上がりました。

あなたが色をつけ、イメージを膨らませることによって、

それはあなただけのオリジナルに仕上がりました。

リーディングの時にも、このイメージを大切にしてみて下さい。

an』1991/8/19〜8/25掲載


タロットカードはあなたのイメージを広げ、

あなたの心のより深い所へと連れて行ってくれます。

わたしたちは、タロットカードと共に物語を創ったり、

カードに色をつけてみたりしました。

これらの作業はすべて、

わたしたち自身の“Fool”の旅--自己(セルフ)への旅の助けになるのです。

そして、この作業を続けていく内に、わたしたちは1つの事実に遭遇します。

それは、わたしたち1人1人が、決して「特別」ではないということです。

わたしたちが創った物語も、ぬってみた色も、

それは特に変わったものではないということです。

数々の神話や伝承の中に、あるいは数えきれないほど沢山の絵画の中に、

それらは存在しています。

人類にある共通のイメージ、

ユングはこれを「集団的無意識」と名付けました。

タロットは、これらを呼び覚まします。

そして、ユングが同じく「元型」と呼んださまざまなイメージも、

タロットの中に隠されています。

an』1991/9/2〜9/8掲載


ユングのいう元型的な象徴がタロットカードの中に隠されていることは、

前回にも少しお話しましたね。

では、実際、どのような感じなのでしょう?

 ちょっと、カードを見てみましょう。

ここに“Hermit(隠者)”というカードがあります。

この錬金術師を思わせる「真実の光」を持った老人は、

まさしく、オールド・ワイズ・マン(老賢者)、

あなたをセルフ(自己)へといざなうハイヤー・セルフです。

また、“Empress(女帝)”のカードに描かれているのは、

太古から豊穣の女神と崇められた、

生み出し、保護し、呑み込むという3つの顔を持つマザー(太母)です。

高次のアニマは“High Priestess”として、

わたしたちが、

彼女のもとを訪れるのを待ち受けるかのように静かに座し、

“Hanged Man(吊るし人)”では、

犠牲と生まれ変わる魂が描かれています。

彼らの声に耳を傾けてみましょう。

わたしたちが旅を続ける様子を、

彼らはずっと昔から、見守ってきたのです。

an』1991/9/17〜9/23掲載


タロットカードに様々な象徴が描かれていること、

そしてそれが元型的な意味を持つことなどお話してきましたが、

果たしてそれが本当に機能するかどうかは、あなたの理解にかかってきます。

象徴や元型の意味は、決して丸暗記するものではありません。

確かにそれらに関する参考文献は、近年豊富に出回るようになってきました。

しかし単なる受け売りの知識よりも、それらを追体験し理解することが大切なのです。

例えば『水』は潜在意識の象徴ですが、

このことが「ことば」としてではなく理解されたなら、

タロットに描かれたすべての『水』は、大いなるひとつの流れとなるでしょう。

そしてその流れの源、

それこそがわたしたちがタロットカードを通じて知り得るものなのです。

他にも様々な知恵が隠されています。

それらは決してことばで説明できるものではありません。

あなた自身で感じ、理解する感覚を大切にして下さい。

an』1991/9/30〜10/6掲載


タロット・リーディングには、カードへの深い想いと理解が必要です。

そのために、私たちはタロットに、

いつも親しみそれに触れるように心がけてきました。

しかし、タロットにばかり心を奪われていても、

そのリーディングは感動を生みません。

もっとも基本的なこと、私たちが生きていくことを否定してしまっては、

タロットはただの紙切れに過ぎなくなってしまいます。

恋をすることも大切なら、夢中になって仕事をするのも良いでしょう。

音楽あるいは絵画なども、あなたの心をゆたかにしてくれるでしょう。

そしてもっとベーシックなもの、

風の動きや水のせせらぎ、

星々のささやく声に感じる心をなくさないでいてくれたら、

あなたのタロット・リーディングはきらめきにみちたものになるでしょう。

秋もそろそろ深まってきました。

ちょっと湿気を含んだ包み込むような夜風が、

今私の部屋に吹き込んできています。

an』1991/10/14〜10/20掲載


タロットカードには、

森や泉、草原を吹き渡る風、そして海といった具合に、

様々な自然が描かれています。

太陽をはじめとする、月や星などの天体も、数多く登場します。

これらが象徴的な意味を持つことはもちろんですが、

わたしたちが自然に一部であるなら、

自身を見つめるタロットカードの中に、

これらが描かれているのは当然のことかもしれません。

中でも『月』は、私たちの心に直接語りかけてくる天体です。

一般に『月』は女性をあらわし、また夜の象徴ですが、

人間の心の闇の領域、いわゆる潜在意識もこの天体に象徴されます。

実際、月の影響力にははかり知れないものがあります。

満月や新月の晩に、インスピレーションが強くなることは、

タロットカードを持たずとも感じられることでしょう。

そしてもし、あなたの手にタロットカードがあるのなら、

このような夜に、月の波動を感じて欲しいものです。

an』1991/10/28〜11/4掲載


タロットは、もうひとりのあなたに出会わせてくれます。

それは、普段は知らないあなたです。

そう、あなたが思い込んでいるあなたではないのです。

悲しいときに悲しんでいるあなたではなく、

苦しいときに苦しんでいるあなたではありません。

それは、あなたを超えたあなた、

もっと深い或いはもっと高いところにいるあなたです。

悲しい時も楽しい時もただあなたの側にいて、あなたを見守っているあなたです。

どんなときにも、生命の喜びを歌っているあなたです。

その存在を知ってください。

それと対話してみてください。

そうすればお手軽な『運命』や、いたずらな神秘に惑わされることもなくなるでしょう。

きっとあなたと、もう一つの存在が、

本当のあなたの運命(生命といってもいいでしょう)を、創り上げていくでしょう。

もっと、あなたを信頼してください。

あなたの中にいる存在こそが、永遠の生命なのです。

『an』1991/12/9〜12/15掲載
 
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